当院の療養病棟では、毎月行事食が提供されています。
その目的は、長期入院の患者さんに対して、日本の文化に触れ、季節を感じ、さらに人との交流を楽しんでいただくことです。
今回、エンドオブライフケア委員会で企画しました行事食について紹介いたします。
今月(9月18日)の行事食は「ステーキ」です。
なぜ「ステーキ」なのか?の問いの答えは、作業療法の一環として実施しています回想療法にそのヒントが隠されています。
今回の回想のテーマは「夏のご馳走?」でした。回想を促すなかで、ステーキ・焼肉・バーベキューなど肉料理が多く挙がっていました。
また回想の手段となったステーキの写真からは、ぴったりな付け合わせやサイドメニューについても驚くほど対話が飛び交いメニューの確定に至り当院初の「ステーキ」病院食に挑戦することにしました。
さらにステーキの皿には、回想療法で導かれた「ポテト」、「人参のグラッセ」、「インゲン豆」、「スパゲティ」、「ワインゼリー」 が美しく盛られ、浅い皿のご飯がセットされ、まるで「レストランの食事」のような特別感を感じました。
一方で、療養生活の食事に大切な留意点として安全に提供するという視点も重要となります。飲み込みの機能が低下している方も居られるため、その方に合わせた食形態で対応いたしました。
工夫した点として「刻み食」の患者さんに対しては、提供前に「常食」の状態で提供し、視覚で豪華さも楽しんでいただきました。
「著しく飲み込みの機能が低下」している患者さんには、みじん切りやミキサー食を今回はソフト食を形成し常食に似せた状態で提供しました。
その結果、食事にあまり関心を示されていない患者さんからも「レストランみたい」「毎日これが食べたい」などの多くの対話と笑顔が見受けられ、普段とは違う感動のある病院食を楽しまれていました。
今回の挑戦をきっかけに、エンドオブライフケア委員会では、食を通して元気になり、その人らしい尊厳のある暮らしを提供し続けたいと思います。